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技を極めるExcelグラフ 序文

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 本書は,技術データをExcel でグラフを描くとき,こんなこともできるのか,こんな便利なやり方もあるのかと思われるトピックが満載です。初心者だけでなくベテランにも役立つ楽しいExcel グラフのハンドブックです。

技を極めるExcel グラフ

 本書「技を極めるExcel グラフ」は,著者自身が技術データを分析する為に、Excelグラフを使用する上で忘れないように作成してきたメモ(データベース)を整理した結果、自然にできあがったハンドブックです。いわゆるExcel グラフ機能の製作者のマニュアルやオンラインヘルプを解説したものではなく、技術者の技術データをExcelのグラフ機能で分析するための本です。

技を極めるExcel グラフは、こんな技術データのグラフを描きたい,そのためにどんな機能が使えるかを徹底的に追求したものです。 案外知られていない便利技が満載ですが,こんなこともできるのだぞと裏技を集めたものでもありません。あくまで実際に技術データのグラフを描くとき,こんな技術データのグラフを描きたいと思ったことをできるようにする技ばかりです。

 速習編には,Excel グラフ機能を速習して実務に使えるレベルになるためのトピックを集めました。ここでは,すでにExcel グラフ機能を使っておられる方々には退屈かもしれません。

 実戦編は,技を極めるExcel グラフ中核です。ここまでマスターすれば,押しも押されぬ使い手といわれるような技が満載です。これでExcel グラフ機能で描けるたいていのグラフは描けるようになります。最小2 乗法で直線や曲線を描くトピックでは,単に操作手順を紹介するだけでなく,最小2 乗法を理解した上でその機能を使うために,数学的な原理にも触れています。

 高級技編は,実務の上でこんなグラフを描きたいという場面で,少し工夫したことや,それまで気づいていなかったことを集めています。ここではVBAでプログラムを書くことで、3Dグラフ作成のコツや,わかりにくいピボットテーブル作成をスキップする便利なピボットグラフ作成法など,くわしく説明しています。

最後にVBA 活用編を付け加え,VBA で広がるExcel グラフ描画の世界を紹介しました。

 技を極めるExcel グラフは実務者のメモから自然にできあがったものですから,すべての機能を余すところなく紹介する徹底解説書ではありません。したがって,記載されていない項目も多いでしょう。しかし,実際に使用した便利な機能は,ほとんど載せられています。

最後に告白しますと,本書はもともと京都大学で客員教授として講義した内容の書物として計画されていました。何度めかの共立出版の方との打合せで,「学生は授業の内容では眠っていても,Excel で作成した図になると目を開きます」と言って2, 3 の例をお見せしたところ,「あっ,それがいい本になる」と叫ばれてこのような本に化けました。専門書執筆は苦悩と神経すり減らしの連続ですが,この本は著者としては,たいへん楽しい執筆作業になり,かつ授業の内容もひそかに盛り込めました。自然にできあがった本であると同時に,著者が楽しんで作った本でもあるのです。

004 データ表を作成したワークシートにグラフを描く

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トピック003 では,データ表を作成したワークシート“Sheet1”とは別のグラフシート“Graph1”にグラフが描かれました。データ表の下にグラフを描くためには,データ表のグラフにする範囲を選択した後,[グラフウィザード]ボタンをクリックします。
[F11]キーを使うとグラフはグラフシートに描かれますが,ここでは“Sheet1”に描きます。

  1. 札幌,東京,那覇の1 ~ 12 月の気温をデータ表にしました。グラフにしたい範囲を選択して[グラフウィザード]ボタンをクリックし,[折れ線グラフ]-[データマーカー付き折れ線グラフ]を選択して,[完了]ボタンをクリックします EXL4-1.JPG
  2. 横軸ラベルには1 月,3 月,5 月のように奇数月しか表示されていません。これは横幅が狭すぎるためです。グラフを囲む四角枠のハンドル( )をドラッグしてグラフの横幅を広げます。つまり,ハンドル上でマウスの左ボタンを押し,押したままマウスを左方へ移動して,グラフ横幅が拡大されたらマウス左ボタンを離します。Exl4-2.jpg
  3. 1月から12月のすべての月が表示されました。こうしてデータ表の下にグラフを描くと,グラフとデータ表を同じ画面で見ることができ,便利です。
    Exl4-3.jpg ドラッグによって,グラフを任意の場所(たとえば,データ表の横)に移動することができます(トピック014 を参照)。

004 サンプルダウンロード

011 データ表の左上隅セルをすばやく作る

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データ表の左上隅セルには行と列を説明する文字列を記入しますが,斜め線“\”を入れるのに案外手間取ったりしがちです。このトピックでは,斜め線のすばやい作り方を二つ説明しましょう。全角文字“\”を使う方法と,図形描画機能を用いて斜め線を引く方法です。

テキストボックスで文字を左上隅セルに貼り付ける方法もあります。ただし,文字位置に乱れが生じやすく,特に同じような表をいくつも作成するときは乱れが目立つので,お勧めの方法ではありません。

以下に二つの方法で左上隅セルを作成した例を示します。図の上側の表では文字“\”を使い,下側の表では図形描画で直線を引きました。どちらの例でも列幅を2 倍に拡大しています。

列幅をすばやく2 倍にするコツはトピック027 で説明します。

Exl11-1.jpg

■ 文字“\”を使う方法
左上隅セルに“国\年齢帯”と入力します。この方法は,単にテキストを入力するだけという手軽さが魅力です。
文字“\”を出すためには,“きごう”をスペースキーで漢字変換してリストの中から探します。一度使うと,学習機能によってリストの先頭に移動するため,次回からは本当に手軽にすばやく利用できる方法になります。

■ 図形描画で直線を引く方法
この方法は仕上がりが美しいのが魅力です。図に示したように,操作は8 ステップにもなりますが,慣れればさほどやっかいではありません。
Exl11-2.jpg この方法では,行の高さが2 倍になります。このとき,列タイトル(“15 ~ 19”…“45 ~ 49”)をセルの上下中央に配置すると美しい表になります。列タイトルのセルをすべて(ここでは7個)を選択した後,[書式]-[セル]を選んで[セルの書式設定]ダイアログを開き,[配置]タブの[縦位置]に[中央揃え]を選択します。

011 サンプルダウンロード

020 グラフの行と列を入れ替える

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グラフの行と列を入れ替えるには,[グラフ]ツールバーの[系列を行方向に定義]ボタン,または[系列を列方向に定義]ボタンをクリックします。
 

Exl20-1.jpg

 

Exl20-2.jpg

凡例ボックス中の凡例項目は系列名です。

020 サンプルダウンロード

023 グラフエリア,プロットエリアって何?(実戦編)

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 本書でも,「グラフエリアを選択せよ」とか,「プロットエリアを選択せよ」とかの記述が出てきます。グラフエリアはグラフの外枠,プロットエリアはグラフの内枠といったところですが,実際に自分で確認すればよくわかるでしょう。
マウスポインタを置いてしばらく待つと,囲み文字で「グラフエリア」と表示されますそのままクリックすればグラフエリアが選択されて,ハンドル( )付きのグラフエリア枠が表示されます。「プロットエリア」も同様です。

Exl23-1.jpg

 3Dグラフ,円グラフ,レーダーグラフなどでは,軸目盛ラベルはプロットエリア内部に配置されるのが普通です。
プロットエリア枠を描くには,プロットエリアを選択して右クリックしてポップアップメニューから[プロットエリアの書式設定]を選び,[プロットエリアの書式設定]ダイアログの[輪郭]を黒色に設定します。

Exl23-2.jpg

023 サンプルダウンロード

029 折れ線グラフと散布図,どっちを使う?

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Excel グラフ機能にある折れ線グラフは,実はたいへん間違いやすいグラフです。失敗しないためには,折れ線グラフの特徴をよく知っていなければなりません。このトピックでは,折れ線グラフ,散布図の作成方法とそれらの特徴を説明します。

■折れ線グラフ
まず,グラフウィザードから折れ線グラフを描く手順を示します。

Exl29-1.jpg データ表に欠落があってもそれなりに正しいグラフが描けます。

Exl29-2.jpg 以下は誤りやすい使用例です。Excel グラフの折れ線グラフ機能で描ける折れ線グラフは横軸が項目軸ですから,数値は扱えません。データ表では一見数値のように見えますが,文字列化しています。文字列になると,数値には無関係に,単純にデータ表の順番にプロットされます。たとえば,時速5 km で歩くときの時間と距離の関係のように,横軸も縦軸も数値軸にする必要があるときは散布図を用いなければなりません。

Exl29-3.jpg ここで示した折れ線グラフの横軸目盛は,項目の区分を示すために,隣り合う項目の境界に描かれています。プロットや横軸の目盛ラベル(0.30,0.67 など)は目盛と目盛の真ん中に配置されます。横軸目盛の位置をプロットや横軸目盛ラベルの位置に合わせることもできます(トピック075 を参照)。

上の例のように,本来グラフが直線にならなければならないとき,折れ線グラフでは横軸の値が等間隔で与えられているときにしか正しく描けません。グラフに描かれるのが,データ表に存在する横軸の値だけで,それらが等間隔に並べられてしまうからです。また,折れ線グラフでは,以下の例でx=0 にまでグラフを拡大することはできません。

Exl29-4.jpg

  ■散布図
グラフウィザードから散布図を描く手順を示します。

Exl29-5.jpg

たとえば,y=2x+3.3 から得られるデータ表をグラフにすれば,グラフは直線になるはずです。しかし,以下のように横軸の値が等間隔でないときは,折れ線グラフでは直線になりません。一方,散布図なら直線が得られます。
Exl29-6.jpg

 上のグラフを仕上げてみましょう

  1. 凡例ボックスを削除します。凡例ボックスを選択して[Delete]キーを押します。
  2. [グラフエリアの書式設定]ダイアログの[フォント]タブで,フォントサイズを9 ポイントに固定します(トピック008)。
  3. グラフサイズを整えます。グラフエリアを選択して外枠ハンドルをドラッグします(トピック027)。
  4. [グラフオプション]ダイアログの[タイトルとラベル]タブで,グラフタイトル,軸ラベルを設定します(トピック009)。
  5. 目盛線を削除します。[グラフオプション]ダイアログの[目盛線]タブにある[目盛線]のチェックをはずします。またはグラフ上で目盛線を選択して[Delete]キーを押します。
  6. [プロットエリアの書式設定]ダイアログの[パターン]タブで,プロットエリアの枠線(輪郭)を黒色にし,背景(範囲)の色を[なし]にします(トピック006)。
  7. 縦軸の軸目盛ラベル(目盛数字)を右クリックして[軸の書式設定]を選び,[表示形式]タブの[分類]に[数値]を,[小数点以下の桁数]に0 を指定します。横軸も同様の設定を行います。
  8. プロットエリアのサイズを調整します。プロットエリアを選択し,枠線のハンドルをドラッグします。
  9. [データ系列の書式設定]ダイアログの[パターン]タブで,プロットとグラフ線の色と形状を設定します(トピック005)

Exl29-7.jpg

029 サンプルダウンロード

032 技術データを最小2乗近似直線で描く

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技術データを最小2乗近似直線で描くためには,Excelグラフ機能のほかに,最小2乗近似直線の基礎理論を知っている必要があります。このトピックではこれらについて説明します。基礎理論は,最小2乗近似直線を用いてとんでもない誤った結論を引き出さないために避けては通れません。本来,基礎理論には多少の数学(偏微分学)が必要になりますが,ここでは数式を飛ばして読んでも理解できるように説明しましょう。強力な武器ですから,しっかり勉強してください。

■ 技術データを最小2乗近似直線で描く操作 Exl32-1.jpg

Exl32-2_3_4.jpg

Exl32-5.jpg

■ 最小2乗近似直線の基礎理論 Exl32-6.jpg

  • 左の図
     実験値や測定値は誤差をもちます。誤差が大きいほど,つまり真の値から離れるほど誤差が発生する確率は小さくなります。両者の関係をグラフに表すと左の図のような釣鐘形の曲線になります。この曲線を正規分布曲線といいます。確率が最大のところが,誤差が最小であることに注意してください。
  • 中央の図
    上記の正規分布曲線を右に90 度傾けた図です。図には,プロット( )が示されています。誤差v と確率p の大きさが太い直線で示されています。
  • 右の図
    x に対するy の値をプロット( )した図です。直線は真の値の位置を示しています。そもそも最小2 乗近似直線とは,真の値が直線であるという前提からスタートします。

誤差の総合確率P と最小2 乗近似直線の関係を考えましょう。上述したように(左の図),確率が最大のときに誤差は最小になります。真の直線とプロットのずれが誤差v です。プロットを左から順に1, 2, 3, 4 と番号付けしてそれぞれの誤差をv1, v2, v3, v4 とし,それらの確率がp1, p2, p3, p4 であるとしましょう。誤差の総合確率はP=p1×p2×p3×p4 であり,Exl32-a.jpg(v の2 乗の和)が最小であればP は最大です。P が最大ということは,最も真の直線の存在確率が高いということです。最も真の直線の存在確率が高い直線が最小2 乗近似直線です。Exl32-b.jpg

最小2 乗近似直線は何を近似しているのでしょう。それは,真の値を示す直線(真の直線)です。

Exl32-7.jpg

032 サンプルダウンロード
上記サンプルはVBAマクロを使用しています。

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